性格の見分け方

 著者 榎本博明
     東京大学卒 心理学者

1.クレペリンテスト

(1)方法

無作為に並べられた1桁の数を2つずつ加算する作業を5分間やらせ、5分間の休憩のあとでさらに5分間やらせる。

  (2)分析方法

    ①1分ごとの作業量から作業曲線を描き、

      ・そこに初頭努力

      ・慣れの効果

      ・疲労効果

      ・休憩効果

      ・動揺率

     等を読み取ることで、性格をとらえようとする。

  (3)目的

     大勢のなかから異常傾向のあるものを抽出するのに有効

2.人間関係を左右する五つの心

    父性・母性・現実性・奔放性・従順性

五つの心の隔たりを調べる。

父性

 批判的なことをよく言う

 人を叱咤激励するのが、好きなほうだ

 頑固で融通がきかないところがある

 人の長所より短所が目につくほうだ

 自分の考えを人に押し付けるような

 ところがある

 人の不正や怠慢には厳しいほうだ

母性

 人に対して親切である

 落ち込んでいる人をみるとほっておけない

 人の面倒をよくみる

 人を批判するよりほめることが多い

 奉仕活動など人の役に立つことが好きだ

 情に流されやすい

現実性

 綿密な計画を立てるのが好きだ

 疑問点は明らかにしないと気がすまない

 数字やデータへの関心が強い

 仕事は能率的にこなすほうだ

 損得を考えて行動するところがある

ものごとは事実に基づいて判断するほう       だ

奔放性

 だれとでも楽しくはしゃぐことができる

 気持が表面にでやすい

 言いたいことは遠慮なく言う方だ

 わがままなところがある

 冗談を言ったりふざけることが多い

 好奇心がつよい

従順性

 なかなか判断できないほうだ

 自信がもてず、おどおどしたところがある

 嫌なことでもはっきり嫌と言えない

 人の顔色をうかがうところがある

 何事も消極的なほうだ

 言いたいことが言えずに後悔することが多い

 

 

著観的に10点満点で五つの心の点をつければよい。

3.五つの心の性格

(1)「父性」が強く「現実性」も強い人はリーダー的な素質を持つ人物

(2)「父性」ばかりが突出している場合は、怖くて近寄りがたい人物

(3)「母性」の強い人は、一緒にいる周囲の人たちをほっとさせる。

   「奔放性」も強ければ明るくて面倒見のよい人物

(4)「母性」が妙に強いのも困りもので、お節介になったりする。

(5)「現実性」は社会生活を送る上で不可欠の性質

   これが強い人は仕事で有能さを発揮したり人から頼りにされることが多い。

   「現実性」ばかり突出していると、冷静でぬけめのない人物と警戒される。

(6)「奔放性」の強い人物は、考え方も感情表現も行動も自由で、とても生き生きしている。

   ユーモアがあり、既成概念にとらわれない豊かな発想力を示す。

   ただし、「奔放性」ばかりが突出いた場合は、自分勝手でわがままな面が前面に出やすく、

   つきあいにくい人物となる。

(7)「従順性」の強い人物は、その控えめな素直さが周囲の人に好感を与える。

   影の薄さ、自信のなさがどうも魅力に感じにくくさせる。

   「従順性」ばかりが突出している場合、心の内に溜めこむものが多すぎて、いつ爆発する危険をはら      

   む人物となりがちである。

4.「親心」「おとな心」「子ども心」をどうつかうか

  (1)親心

    ・人を厳しく批判したり叱咤激励したり、あるいはほめたりやさしく慰めたり許したり

     すること。

  (2)おとな心

    ・事実に基づいて物事を冷静に判断すべく、適切に情報を取捨選択し、それをあらゆる角度から

     検討する心

  (3)子ども心

    ・自由奔放に自己を表現する無邪気さ・活発さや、その反対に周囲の人たちの愛情や保護を

     失わないように自分の気持ちを抑える従順さのこと。